2026/10/19
経理の“やり直し”を減らすために最初に整えるべき…
コラム

経理業務において、一度処理した仕訳や書類を後から修正する「やり直し」に、想定以上の時間を取られているという声をよく耳にします。
修正そのものは決して珍しいことではありませんが、同じような修正が繰り返し発生している場合、それは個人のミスというより、業務の仕組みそのものに原因があるケースが少なくありません。
税理士事務所の立場から月次のやり取りを拝見していると、「やり直し」が多い企業には、いくつか共通した特徴が見られます。
今回は、経理の「やり直し」を減らすために、最初に整えておきたい仕組みについて整理します。
経理の修正作業の多くは、入力段階での情報不足や確認漏れが原因で発生します。
例えば、証憑に記載されている取引先名や日付が不明瞭なまま処理を進めてしまうと、後になって「これはどの取引だったか」を確認し直す手間が生じます。
また、担当者ごとに判断基準がバラバラだと、後から統一のルールに合わせて仕訳を直すという二度手間が発生しやすくなります。
これらの原因を踏まえると、修正そのものを減らすには、入力前の段階で仕組みを整えておくことが重要です。
① 証憑を受け取る時点で必要事項を確認する
領収書や請求書を受け取った時点で、取引先名・日付・目的などが読み取れるかをその場で確認しておくことで、後からの問い合わせや修正を大きく減らすことができます。
② 判断基準をルール化して共有する
「この費用はどの科目にするか」といった判断が担当者の感覚に委ねられている場合、勘定科目の割り当てルールをあらかじめ整理し、誰が処理しても同じ結果になるようにしておくことが有効です。
③ 「その場で確認する」フローを組み込む
不明点をいったん保留にして後でまとめて確認しようとすると、記憶が薄れて確認漏れが生じやすくなります。
そのため、疑問点が出た時点ですぐに確認・記録できる仕組み(チャットでの即時確認など)を業務フローに組み込んでおくことが望ましいといえます。
自社内だけで仕組みを整えるのが難しい場合は、税理士事務所と定期的に「よくある修正パターン」を共有することも有効です。
これにより、自社では気づきにくい仕組み上の弱点を、第三者の視点から早期に発見できる可能性が高まります。
経理の「やり直し」は、個人の注意力だけでなく、情報確認や判断基準の仕組みに原因があることが少なくありません。
証憑確認のタイミングを見直す、判断基準を統一する、疑問点をその場で解消する仕組みを作るといった工夫を重ねることで、修正の手間を減らすことができます。
まずは直近で発生した「やり直し」の事例を振り返り、その原因がどこにあったのかを確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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