2026/07/06
【やりがちミス】経理業務で発生しやすいチェック漏…
コラム

経理業務において「ミスをゼロにする」ことは永遠のテーマですが、日々の忙しさの中でどうしても発生してしまうのがチェック漏れです。
特に、繁忙期やイレギュラーな取引が重なった際、「いつも通りやっているはずなのに」という場面でミスが隠れていることが少なくありません。
税理士事務所の立場から月次監査や決算のサポートをさせていただく中で、多くの企業に見受けられる「特に出やすいチェック漏れのパターン」がいくつかあります。
実務の現場で陥りやすいチェック漏れの傾向とその対策について整理します。
経理のミスは、全く知識がないから起きるのではなく、むしろ「いつものことだから」という慣れや、逆に「今回だけは特別」という例外処理の際に発生しやすい傾向があります。
チェックしているつもりでも、視点が固定化されることで、重要な違和感を見逃してしまうケースです。
現場でよく見受けられるパターンを整理します。
① 二重払いや支払先相違の確認漏れ
同じ金額の請求書が2枚届いたり、前月の未払分と当月分が混在していたりする場合、そのまま二重に支払処理を進めてしまうことがあります。
特に、「請求書がPDFと郵送の両方で届く」といった管理の不徹底が、こうしたチェック漏れを誘発する要因になります。
② 税率(軽8%・10%)と勘定科目の不一致
インボイス制度開始後、さらに複雑になったのが消費税率の確認です。
軽減税率の対象品目と標準税率が混在する領収書において、システムが自動判定したものをそのまま通してしまい、正しい税率区分になっていないケースが見受けられます。
「飲食代=すべて接待交際費」といった思い込みによる、科目選択のミスもこのパターンに含まれます。
③ 日付の「またぎ」と期間帰属のズレ
「納品は3月末だが、請求書の発行が4月になった」というような月をまたぐ取引は、チェック漏れが起きやすい箇所です。
本来はその月の経費として計上すべきものが、翌月分として処理されてしまうことで、正確な月次損益が把握できなくなるリスクがあります。
こうしたミスを防ぐためには、個人の注意力だけに頼らず、仕組みでカバーすることが重要です。
• 「違和感」を言語化する習慣
前月や前年同期の数字と比較して、「なぜ今月は高いのか?」という理由が説明できない場合は、どこかにチェック漏れがあるサインです。
• チェックリストの活用と更新
一度起きたミスをリスト化し、自分専用の「重点確認項目」として手元に置いておくだけでも、再発防止に大きな効果があります。
• デジタルツールの「アラート機能」を活かす
クラウド会計ソフトなどの二重計上防止アラートや、金額の異常値を知らせる機能を活用することで、人の目によるチェックの負担を軽減できます。
経理業務におけるチェック漏れは、どんなにベテランであっても完全に防ぐことは難しいものです。
重要なのは、ミスを責めることではなく、「どこに漏れが出やすいのか」という自社の傾向を把握し、それをカバーする体制を整えることです。
日々の業務の中で、「ここは間違いやすいポイントだ」と意識を向けるだけでも、チェックの精度は大きく変わります。自社のチェック体制を一度見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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