2025/12/15
会計・経理の「入力ミス」を減らす業務フロー設計5…
コラム

会計や経理の現場で、入力ミスは避けて通れない課題です。
金額の打ち間違い、勘定科目の誤り、二重計上や計上漏れなど、経理の入力ミスは一見小さなミスに見えても、決算や税務申告に大きな影響を与えることがあります。
私たち税理士事務所にも、「試算表の数字が合わない」「原因が分からない入力ミスが多い」といったご相談が数多く寄せられます。
実は、こうした入力ミスの多くは、担当者の能力ではなく業務フローの設計に原因がある可能性があります。
会計・経理の入力ミスを減らすために有効な業務フロー設計の考え方を、実務の視点からご紹介します。
経理の入力ミスが起きた際、「担当者の確認不足」「注意力の問題」と考えてしまいがちです。
しかし、実務上は入力ミスが起きやすい環境やフローが存在しているケースがほとんどです。
例えば、
・紙の請求書を見ながら手入力している
・同じデータを複数のExcelや会計ソフトに入力している
・入力とチェックを同一人物が行っている
このような業務フローでは、どれだけ注意していても入力ミスは発生しやすくなります。
経理業務において重要なのは、「ミスをしない人」を育てることは重要ですが、さらに「ミスが起きにくい仕組み」を作ることです。
会計・経理の入力ミス対策は、業務フロー全体を見直すことから始まります。
ここからは、実際に効果の高い業務フロー設計のポイントをいくつかご紹介します。
① 入力作業をできるだけ自動化する
銀行口座やクレジットカードと会計ソフトを連携させることで、手入力の機会を大幅に減らせます。
経理の入力ミスの多くは、数字を「打つ」工程で発生します。自動連携を活用することは、最も基本的かつ効果的な対策です。
② 入力とチェックの役割を分ける
同じ人が入力と確認を行うと、入力ミスに気づきにくくなります。
可能であれば、入力担当とチェック担当を分けるなど、体制を整えることが重要です。
③ 勘定科目のルールを明確にする
「この支出はどの勘定科目か」という判断が担当者ごとに異なると、経理の入力ミスや不整合が増えます。
よく使う取引については、勘定科目のルールを文書化し、誰が入力しても同じ処理になるようにしておくことが有効です。
④ 証憑の流れを固定する
領収書や請求書の提出方法がバラバラだと、入力漏れや二重計上の原因になります。
「いつ・誰が・どこに提出するか」を明確にし、経理に届く証憑を一元管理するフローを作ることが重要です。
⑤ 月次で必ず数字を確認する
決算時にまとめて確認するのではなく、月次で試算表をチェックすることで、入力ミスを早期に発見できます。
経理は「溜めない」ことが、入力ミスを最小限に抑えるポイントです。
経理の入力ミスは、社内だけで完結させようとすると見逃されがちです。
第三者の視点が入ることで、初めて気づくミスも少なくありません。
税理士事務所が月次チェックや記帳代行に関与することで、
・残高の不一致
・不自然な勘定科目の使い方
・前期との数字のズレ
といった入力ミスを早期に発見できます。
また、経理フローそのものに問題がある場合には、業務改善の提案ができる点も大きなメリットです。
入力ミスを「修正する」だけでなく、「そもそも起きないようにする」ためには、外部の専門家をうまく活用することが有効です。
会計・経理の入力ミスは、担当者の注意力だけで防げるものではありません。多くの場合、入力ミスの原因は業務フローの設計にあります。
入力作業の自動化、役割分担の明確化、ルールの統一、月次チェックの徹底など、業務フローを見直すことで、経理の入力ミスは確実に減らすことができます。
また、税理士事務所など外部の専門家が関与することで、入力ミスの早期発見と再発防止が可能になります。
経理の正確性は、会社の数字の信頼性そのものです。
「入力ミスが多い」「経理が不安定」と感じている場合は、
一度、業務フローそのものを見直すことが、最も効果的な改善策となります。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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日々、多くの会社様より経理・労務を中心としたバックオフィス業務のご相談をいただいております。
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