2024/09/30
会計業務を内製化するメリット・デメリット
コラム
経理は専門的な知識が必要なうえ、間違えると大きな問題となりかねない分野でもあります。
そのため、効率よく、またわかりやすくするために、クラウドを活用した経理アウトソーシングを使うことを検討する企業もあるでしょう。
今回はこのなかから、クラウドを活用したソフトである「MF(マネーフォワードクラウド。以下は『MF』で統一)」と「freee(フリー。以下は『freee』で統一)」を取り上げ、比較していきます。
MFもfreeeも、両方とも経理の手間を削減できるサービスです。
MFは、会計に加えて、勤怠管理や給与管理なども、人数制限はあるもののプラン内に含まれています。
対してfreeeはこれらは有料ではありますが、機能としては搭載されています。
上記の点も踏まえて、料金や利用できる機能を比較し、導入を検討していく必要があります。
また、料金や機能にとらわれて見落としがちになりますが、今後、継続して新しいソフトを利用することから、「使い勝手」も比較検討する重要なポイントとなります。MFもfreeeも無料で利用できる期間があるため、それぞれを利用した上で、どちらのソフトを導入するかを検討するとよいでしょう。
いずれにしてもクラウド上のソフトとなるため、自社で活用する場合でも、経理アウトソーシングで外部に依頼する場合でも、メールアドレスに紐づけて共有をすることができます。
MFもfreeeも、両方とも預金口座やクレジットカードの明細を手動入力する必要はありません。現在は「学習して賢くなるAI」が搭載されたサービスが多く、MFもfreeeも、双方とも勘定科目をある程度自動で入力されます。
クレジットカードにおいては、MFは日付、金額の変更が可能で、freeeの場合は金額や日付は変更できませんが、どちらにしても、基本的にはこれらが間違っていることはありません。そのため、この点については、特に問題になりません。
経理アウトソーシングする場合でも、この「連携」さえしてしまえば、あとはアウトソーシング先が処理をしてくれるため、自社でする作業が格段になくなります。
ただし、MFの場合はクレジットカードの明細が日々取り込まれるのに対し、freeeは「支払金額が決定した段階」で取り込まれることになります。
そのためMFの方がスピーディーに処理を行っていくことができます。freeeの場合、締め日によっては1か月程度の時間があきかねません。
そのため、スムーズな経営判断をするためには、MFの方が早く判断ができますが、試算表作成の希望タイミングにより使い分けが必要です。
もう1つ意識しておきたいのが、「仕訳の入力画面」です。
MFの場合は経験者にとっておなじみの「振替伝票形式」をとっているので、経験がある人には使いやすいでしょう。しかしまったく未経験の人が入力する場合は、この段階から勉強が必要になるため、難易度が上がります。
対してfreeeの場合は、売掛金や買掛金の発生仕訳を自動で行ってくれます。このため未経験者、あるいはそれほど経理に詳しくない人であっても触りやすいでしょう。一方、経理経験者にとっては困惑が大きくなるといえます。
そのため、経理アウトソーシングをする先によってソフトの選定が異なります。
このように、クラウドソフトにはそれぞれ違いがあります。
また、もう1つ重要な点として、「どのようなクラウドを活用した経理アウトソーシングであっても、決して完璧なものではない」ということを抑えておいてください。
たしかにクラウドソフトを活用することは、日々の経理作業を格段に楽にしてくれるものです。実際にこれを取り入れている企業は非常に多く、経理の手間と、ひいては人件費を抑えることに役立ちます。
しかしどれほど優秀なクラウドソフトであっても、経理処理を完璧に行えるわけではありません。入力や確認をしているときには、どこかで必ず、「あれ? これはどうやって処理をすればいいのだろうか?」と迷うときが来るでしょう。
このような事態に対処するためには、自社の経理担当者の教育を実施する、経理アウトソーシングを活用し、外部機関を利用する、といった方法があります。
それぞれ自社の状況に応じて、判断をすることが大切です。
弊社では、クラウドソフトの導入支援を積極的に行っておりますので、業務改善を実施したいなど、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。
K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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