2026/05/25
税理士事務所を経理代行の“パートナー”にするため…
コラム

昨今、人手不足や業務効率化の流れを受け、経理業務を外部へ委託する「経理代行」を活用する企業が増えています。
しかし、単に「作業を丸投げする先」として捉えてしまうと、期待したほどの効果が得られなかったり、逆に社内の状況が把握しづらくなったりするケースも見受けられます。
税理士事務所の立場から多くの企業様を拝見していると、単なる外注先ではなく、共に事業を支える「パートナー」としてうまく活用できている企業には、共通する付き合い方があります。
税理士事務所を真のパートナーにするためのポイントを整理します。
経理は正確性が重視される業務であるため、「念のため確認しておこう」「二重三重にチェックしておこう」という意識が働きやすい傾向があります。
また、
・過去にミスが発生した経験がある
・特定の担当者に業務が集中している
・システムへの信頼が十分でない
といった事情から、人による手作業や確認が増えていく場合もあります。
その結果、本来は不要な作業や重複したチェックが常態化していることがあります
日々のやり取りにおいて、以下のポイントを意識することで、よりスムーズな連携が可能になります。
① 資料提出のスピードと精度を整える
経理代行の品質は、提供される資料の質に左右されます。
提出期限を守ることはもちろんですが、領収書の裏に内容をメモしたり、不明な入出金に事前にコメントを添えたりするひと工夫があるだけで、税理士事務所側の確認作業がスムーズになり、結果として月次決算の早期化につながります。
② 業務の「境界線」を明確にする
「どこまでを自社で行い、どこからを税理士事務所に任せるか」という役割分担を明確に定義しておくことが重要です。
境界線が曖昧だと、確認漏れや作業の重複が発生しやすくなります。定期的にフローを見直し、「この作業はもっと自動化できないか」といった相談を投げかけるのも有効な付き合い方です。
③ ツールやIT環境を合わせる
クラウド会計ソフトやチャットツールの活用など、お互いにスムーズに情報を共有できるIT基盤を整えることが推奨されます。
リアルタイムで数字を共有できる環境があれば、税理士事務所側も「作業者」としてだけでなく、「アドバイザー」としてより深い提案がしやすくなります。
税理士事務所をパートナーと捉えるなら、単なる事後報告だけでなく、事前の相談を増やすことも大切です。
「新しい事業を始める」「大きな設備投資を検討している」といった情報を早めに共有しておくことで、税務的なリスク回避だけでなく、資金繰りや管理体制の構築について、より踏み込んだサポートを受けられる可能性が高まります。
税理士事務所を経理代行のパートナーにするためには、作業を「外に切り出す」だけでなく、お互いが「同じ数字を共有するチーム」であるという意識を持つことが重要です。
密な情報共有と適切な役割分担がなされていれば、経理代行は単なるコスト削減手段ではなく、経営のスピードを加速させる強力なエンジンになります。
自社と税理士事務所の現在の関係性を、一度「パートナーシップ」という視点で見つめ直してみてはいかがでしょうか。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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