2026/03/30
経理のペーパーレス化で広がる業務改善の可能性6つ
コラム

経理業務の効率化についてご相談を受ける中で、「ペーパーレス化は気になっているが、どこから手を付ければよいかわからない」という声を耳にすることがあります。
紙の削減というと単なるコストカットのイメージを持たれがちですが、実際には業務全体の流れを見直すきっかけになることも少なくありません。
税理士事務所の立場から企業の経理体制を拝見していると、ペーパーレス化が進んでいる会社ほど、業務の停滞が起きにくい傾向が見られます。
今回は経理のペーパーレス化によって広がる業務改善の可能性について、実務の視点から整理します。
新任の経理担当者は、経理知識がある場合でも、実務で戸惑うことが少なくありません。
経理業務は証憑書類を扱う性質上、「紙で保管するのが安心」という意識が根強く残っている分野です。そのため、見直すきっかけがなく、慣習として運用が続いているケースもあります。
また、
・これまで問題なく運用できている
・法令対応が不安
・取引先との関係を変えたくない
といった理由から、大きな変更を避ける会社も少なくありません。
しかし、紙を前提とした業務フローが、知らず知らずのうちに作業負担を増やしている場合もあります。
ここからは、実務上感じる変化を6つに整理します。
① 書類の「探す時間」を減らせる可能性がある
紙の請求書や領収書を保管している場合、過年度資料を探すためにキャビネットや倉庫を確認する場面があります。
データ保存と検索機能を活用することで、必要な書類に短時間でアクセスできる環境を整えられる可能性があります。日々の小さな時間短縮が、積み重なると業務効率に差が生まれます。
② 承認フローを見直すきっかけになる
紙の回覧や押印が前提となっている場合、担当者不在による承認滞留が発生しやすくなります。
ワークフローの電子化を検討することで、承認状況を可視化し、業務の停滞を防ぎやすくなるケースがあります。ペーパーレス化は書類削減だけでなく、承認プロセスそのものを整理する機会にもなります。
③ 入力作業の効率化につながる可能性がある
紙資料を見ながら会計ソフトへ手入力する運用では、どうしても作業時間がかかります。
データ連携やOCRの活用により、仕訳入力の一部を自動化できる環境を整えられる場合があります。入力業務の負担が軽減されることで、チェックや分析に時間を充てやすくなります。
④ テレワークや多様な働き方に対応しやすくなる
紙資料が社内にしか存在しない場合、出社を前提とした業務設計になりがちです。
電子保存を進めることで、場所にとらわれない業務体制を整えやすくなる可能性があります。これは人材確保や業務継続の観点からも検討する価値があります。
⑤ 保管スペースや管理負担を抑えられる可能性がある
紙書類の保管には、物理的なスペースだけでなく、整理や廃棄、保管期限管理といった手間が発生します。
電子保存へ移行することで、これらの管理負担を軽減できる場合があります。目に見えるコストだけでなく、日常的な管理業務の簡素化にもつながります。
⑥ 経理業務の役割を広げる余地が生まれる
作業中心の業務体制では、月次処理をこなすこと自体が目的になりやすい傾向があります。
入力や保管の負担が軽減されることで、月次決算の早期化や数値分析、経営への報告資料の充実といった付加価値業務に時間を充てられる可能性が広がります。ペーパーレス化は、経理部門の位置づけを見直す契機にもなり得ます。
経理のペーパーレス化は、単に紙を減らす取り組みではなく、業務フロー全体を見直すきっかけになります。結果として効率化や働き方の改善につながる可能性があります。
すべてを一度に変える必要はありませんが、請求書の電子化や証憑のデータ保存、承認フローの見直しなど、取り組みやすい部分から始めることが現実的です。
経理業務に負担を感じている場合は、現在の運用を一度整理してみることも一つの方法です。ペーパーレス化が、その第一歩になるかもしれません。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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