2026/02/16
経理担当者が突然辞めた!トラブル事例から学ぶ失敗…
コラム

近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の流れを受けて、経理DXに取り組む企業が増えています。
クラウド会計の導入、請求書の電子化、経費精算のデジタル化など、経理業務を効率化する手段は以前よりも身近になりました。
一方で、税理士事務所として現場を見ていると、「DXを導入したはずなのに、かえって経理が混乱している」というご相談も少なくありません。
経理DXは、やり方を誤ると効果が出ないどころか、入力ミスや業務負担の増加につながることもあります。
経理DXを進める際にありがちな失敗例と、その回避法について、実務の視点から解説します。
目次
経理DXで最も多い失敗が、「ツールを入れること自体が目的になってしまう」ケースです。
クラウド会計や経費精算システムを導入したものの、
・従来の業務フローが整理されていない
・紙の処理とデジタル処理が混在している
・結局、二重入力が発生している
といった状況になってしまうことがあります。
この場合、経理DXの効果を感じられず、「DXはうちには合わない」と判断されがちです。
しかし問題はツールではなく、経理業務の設計が先にできていないことにあります。
回避法としては、まず「どの経理業務を、どう改善したいのか」を明確にすることが重要です。
入力作業を減らしたいのか、月次決算を早めたいのか、経営数字を見える化したいのか。
目的を整理したうえで、必要なツールを選定することで、経理DXは本来の効果を発揮します。
経理DXを経理担当者やIT担当者だけで進めてしまうことも、よくある失敗例です。
実際には、経理DXは経理部門だけで完結するものではありません。
例えば、
・経費精算は現場社員が入力する
・請求書は営業部門が発行する
・支払申請は管理部門が関与する
といったように、経理業務は複数の部署と密接につながっています。
経理DXを進める際に、現場への説明やルール共有が不足していると、入力ルールが守られず、結果的に経理の負担が増えることになります。
回避法としては、経理DXを「全社の業務改善」として位置づけることが重要です。
新しいフローやルールを導入する際には、関係部署への説明と簡単な運用マニュアルの整備を行い、誰が見ても分かる状態を作る必要があります。
経理DXを進めると、「自動化されているから大丈夫」と安心してしまい、チェック体制が弱くなることがあります。
しかし、DXによって入力作業が自動化されても、内容の確認や判断まで自動化されるわけではありません。
例えば、
・自動仕訳の勘定科目が実態と合っていない
・取引内容の判断が必要な支出がそのまま処理されている
・異常値やイレギュラー取引に気づかない
といったケースは、経理DX後でも十分に起こり得ます。
この失敗を防ぐためには、月次でのチェック体制を必ず残すことが重要です。
試算表の確認、前月・前年との比較、残高の妥当性チェックなど、人の目による確認は不可欠です。
経理DXは「人を減らす仕組み」ではなく、「人の判断を活かすための仕組み」であるという意識が大切です。
他社事例や流行に引っ張られ、自社の規模や体制に合わない経理DXを進めてしまうケースもあります。
小規模な事業にもかかわらず、複雑なシステムを導入してしまい、かえって運用が難しくなることがあります。
経理DXは「高度であれば良い」というものではありません。事業規模、取引量、経理体制に合ったDXを選ぶことが重要です。
回避法としては、段階的に経理DXを進めることが有効です。
まずは、
・銀行・カード連携による入力削減
・請求書の電子化
・証憑のデータ管理
といった基本的な部分から着手し、必要に応じて拡張していくことで、無理のないDXが実現できます。
経理DXは、正しく進めれば業務効率化や入力ミスの削減、経営判断の迅速化につながります。
一方で、目的が曖昧なままツールを導入したり、運用設計を軽視したりすると、思わぬ失敗につながります。
重要なのは、
・経理DXの目的を明確にすること
・業務フロー全体を見直すこと
・DX後も人によるチェックを残すこと
・自社に合った段階的な導入を行うこと
です。
経理DXは、単なるシステム導入ではなく、経理業務そのものを見直す機会でもあります。
もし経理DXの進め方に不安がある場合は、税理士事務所など外部の専門家と一緒に進めることで、失敗のリスクを大きく減らすことができます。
経理DXを「失敗しない改革」にするために、ぜひ一度、自社の経理フローを見直してみてください。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
これだけは知っておいてほしい!
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日々、多くの会社様より経理・労務を中心としたバックオフィス業務のご相談をいただいております。
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