2026/05/11
経理業務に「人が関与しすぎる」ことのリスクと改善…
コラム

経理業務は性質上、最終的に人の確認や判断が欠かせない分野です。
そのため、「人がしっかり関与していること」が安心材料になっている企業も少なくありません。
一方で、必要以上に人の手が入りすぎていることで、業務効率や内部統制の面で課題が生じているケースも見受けられます。
経理業務において「人が関与しすぎる」状態がもたらすリスクと、その改善策について整理します。
経理は正確性が重視される業務であるため、「念のため確認しておこう」「二重三重にチェックしておこう」という意識が働きやすい傾向があります。
また、
・過去にミスが発生した経験がある
・特定の担当者に業務が集中している
・システムへの信頼が十分でない
といった事情から、人による手作業や確認が増えていく場合もあります。
その結果、本来は不要な作業や重複したチェックが常態化していることがあります
① 属人化が進みやすい
特定の担当者しか内容を把握していない業務が増えると、休職や退職があった場合に業務が滞る可能性があります。
「その人でないと分からない」という状態は、組織としてはリスク要因になります。
② ミスの温床になる可能性がある
人の手作業が多いほど、入力ミスや転記ミスが発生する余地は広がります。
確認工程が増えていても、構造的にミスが起きやすい設計になっていれば、根本的な解決にはつながりません。
③ 業務スピードが低下する
複数人による確認や承認が重なりすぎると、処理が滞留しやすくなります。
月次決算の遅れや、経営判断に必要な数値の把握が遅れる原因になることもあります。
④ コストが増加する
必要以上に人手がかかる業務設計は、人件費の増加につながります。
作業時間の積み重ねは見えにくいものの、年間で見ると無視できない負担になることがあります。
「人を減らす」ことが目的ではなく、人が関与すべきポイントを明確にすることが重要です。
以下のような観点から見直しを検討できます。
① 業務フローを可視化する
まずは現状の業務フローを整理し、どこで誰がどの作業を行っているのかを明確にします。
重複している工程や、形式的になっている確認作業がないかを洗い出すことが第一歩です。
② システムや自動化を活用する
仕訳の自動連携やワークフローシステムの導入などにより、手作業を減らせる部分がないか検討します。
単純作業はシステムに任せ、人は判断業務に集中する設計が望ましいと考えられます。
③ チェック体制を再設計する
「全件を全員で確認する」体制が最適とは限りません。
リスクの高い取引に絞った確認や、サンプリングチェックなど、メリハリのある統制も選択肢になります。
経理業務において人の関与は不可欠ですが、関与が増えすぎることで、属人化や非効率、コスト増といったリスクが生じる可能性があります。
重要なのは、「人を介在させること」そのものではなく、「どこに人の判断が必要か」を見極めることです。
業務フローの整理やシステム活用を通じて、人が本来担うべき役割に集中できる体制を整えることが、結果として経理機能の強化につながると考えられます。
経理業務を見直す際は、「人が多く関与している=安心」と捉えるのではなく、業務設計の観点から一度立ち止まってみることも一つの方法かもしれません。

K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
これだけは知っておいてほしい!
バックオフィス業務の改善に役立つ
ノウハウ・テクニック情報集結! ・・・・・
日々、多くの会社様より経理・労務を中心としたバックオフィス業務のご相談をいただいております。
こうした経験をもとに、バックオフィス業務の改善に役立てていける
ような情報を発信してまいります!

