2026/06/22
予算を抑えて経理をデジタル化。最小限のコストで始…
コラム

経理のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)と聞くと、「高価なシステムを導入しなければならない」「専門のコンサルタントが必要だ」といったイメージを持たれるかもしれません。
しかし、税理士事務所の立場から多くの効率化事例を拝見していると、多額の予算をかけずとも、今ある環境の延長線上で劇的に業務を改善できているケースが多々あります。最初から「満点」を目指さず、まずは「小さな不便」を解消することから始めるのが、失敗しないデジタル化のコツです。
導入コストを最小限に抑えつつ、経理のデジタル化を始めるための現実的なアプローチを整理します。
すべての業務を一度にデジタル化しようとすると、導入コストだけでなく、現場の教育コストも膨れ上がります。
まずは、「最も手作業が多く、かつ自動化しやすい部分」だけを切り出して、安価なツールや無料の機能を活用することから検討してみてください。
① 今ある銀行口座の「オンラインバンキング」を使い倒す
新たなソフトを導入する前に、まずは現在利用している金融機関のオンライン機能をフル活用しましょう。
多くのクラウド会計ソフトは、銀行とのデータ連携機能を持っています。CSVデータの出力やAPI連携を利用するだけで、通帳を見ながらの手入力という「最もコスト(時間)がかかる作業」を、ほぼゼロ円の追加負担で削減できる可能性があります。
② スキャンアプリと共有フォルダの活用
高機能なワークフローシステムを導入しなくても、スマートフォンのスキャンアプリと、Google WorkspaceやMicrosoft 365などの共有ストレージを組み合わせるだけで、ペーパーレス化は一気に進みます。
紙の資料をPDF化して共有フォルダに置く。このシンプルな「置き場所のデジタル化」だけでも、検索性が高まり、物理的な管理コストを大幅に抑えることができます。
③ クラウド会計の「エントリープラン」から試す
多くのクラウド会計ソフトには、機能を絞った安価なエントリープランが用意されています。
まずは領収書の取り込みや銀行連携など、特定の機能に絞って利用を開始し、効果を実感できてから上位プランへ移行する形をとれば、初期投資のリスクを最小限に抑えられます。月数千円程度の投資で、担当者の作業時間が月数時間削減できれば、それだけで十分に投資対効果は得られます。
自社だけでツールを選定しようとすると、ミスマッチによる無駄なコストが発生しがちです。
会計事務所の多くは、さまざまな企業の導入事例を知っています。「自社の規模感ならどのツールが最適か」「今あるエクセルをどう活かせるか」といった相談を、定期的な打ち合わせの中で投げかけてみてください。追加のコンサル料を払わずとも、日常のやり取りの中で最適なヒントが得られるはずです。
デジタル化の目的は、高価なツールを導入することではなく、業務の「無駄」を省くことにあります。
まずは銀行連携や資料のスキャンといった、身近でコストのかからない部分から手をつけてみる。その積み重ねが、結果として組織全体の大きな効率化につながります。
「まずはここから変えてみよう」という小さな一歩が、数ヶ月後の経理業務を驚くほど軽くしてくれるかもしれません。
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K&P税理士法人
山口 貴澄
経理業務改善、経理体制構築、クラウドツール導入支援
大学卒業後、建築業界、学習塾の教室長などを経た後、ベンチャー企業の経理業務に従事。
その後、中小企業の経理業務の効率化に貢献したいとの思いから、会計事務所業界に転身し、2020年にK&P税理士法人へ入社。
前職で多業種から経理業務改善の相談に対応した経験から、クラウド・ITツールを活用した経理フローを構築し、経理業務の負担を圧倒的に軽減する提案に定評あり。
特に、マネーフォワードのクラウド会計の導入支援を得意とするほか、初級シスアド(現ITパスポート)、Excel表計算処理技能認定試験1級も保有。
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