2026/01/19
経理業務の遅延が会社に与える“見えない損失”とは
コラム
「インボイス制度や電子帳簿保存法への対応で、今の会計ソフトでは限界を感じている」
「テレワークを導入したいが、経理だけ出社しなければならない」
そんな悩みを抱える企業にとって、クラウド会計ソフトの導入は有力な解決策となります。
しかし、いざ導入しようとすると「使いこなせるか不安」「移行作業が大変そう」といった懸念から、
二の足を踏んでしまうケースも少なくありません。
本記事では、クラウド会計ソフトの基礎知識から、導入のメリット・デメリット、
導入を阻む壁の乗り越え方、そしてスムーズな移行方法まで、
導入を成功させるための全知識を網羅的に解説します。
まずは、そもそも「クラウド会計ソフト」とは何なのか、
従来のインストール型ソフトと何が違うのか、
その基本的な仕組みと特徴について正しく理解しておきましょう。

現状、多くの企業では経理業務に会計ソフトを使用していますが、
その多くはパソコンにインストールして使用する「インストール型」と呼ばれるものです。
「会計ソフト」と聞くと、家電量販店などでパッケージを購入し、
会社の経理用パソコンにインストールして使う「モノ」としてのソフトをイメージされる方が
多いのではないでしょうか。
この場合、ソフトが入っている特定のパソコンでしか作業ができず、
データもそのパソコン内に保存されるのが一般的です。
一方、近年急速に普及している「クラウド会計ソフト」は、
これとは全く異なる仕組みを持っています。
「クラウド」とは英語で「雲」を意味します。
会社の経理データを、パソコンの中ではなく、
インターネット上の「雲(サーバー)」のような場所に保存し、
必要な時にそこへアクセスして利用するというイメージです。

クラウド会計ソフトの最大の特徴は、インターネット環境さえあれば、
場所や端末を選ばずに利用できる点にあります。
従来のソフトのように特定のパソコンに縛られることがないため、
会社だけでなく、自宅や出張先からでも、IDとパスワードを使ってログインするだけで、
すぐに経理業務を行うことが可能です。
また、利用形態も「ソフトを購入する」のではなく、「サービスを利用する」という形になります。
一般的には、サービス提供会社に月額または年額の利用料(サブスクリプション方式)を
支払うことで利用権を得る仕組みです。

クラウド会計ソフトは単に場所を選ばないだけではありません。
インターネット上のサーバーでデータ処理を行うため、
銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどの金融サービスと連携し、
明細データを自動で取得・仕訳する機能(API連携)が標準的に備わっています。
これにより、手入力の手間を大幅に削減し、経理業務の自動化を推進できるのが大きな強みです。
さらに、データが常にクラウド上で一元管理されているため、
経営者、経理担当者、そして顧問税理士が、
それぞれの場所から同時に同じ最新データを確認することができます。
「データをUSBメモリに移して税理士に渡す」「最新の試算表が出るまで数週間待つ」といった
タイムラグがなくなり、リアルタイムな経営判断が可能になる点も、
クラウド会計ソフトが選ばれる大きな理由の一つです。
クラウド会計ソフトを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
単なる「ペーパーレス化」にとどまらない、
業務効率化や経営スピードの向上といった本質的な価値について解説します。

クラウド会計ソフトには、従来のインストール型ソフトにはない多くのメリットがあります。
ここでは、その主なメリットを5つのポイントに分けて解説します。
パソコン、スマートフォンとネット環境があれば、いつでもどこでも経理業務を行うことができます。
会社でデータ保存する必要がなく、自宅や出張先からでもアクセス可能です。
PCだけでなくスマホやタブレットでも利用できるため、
経営者が出張先でスマートフォン一つで経営状態や資金繰りを確認したり、
営業担当者が移動中に経費精算を行ったりすることも可能です。
データはインターネット上のサーバー(クラウド)で安全に管理されるため、
自社でバックアップを取る手間がかかりません。
また、インターネット上にデータを管理するので、
自社のパソコンのハードディスク容量を気にする必要もありません。
万が一パソコンが故障しても、新しい端末でログインすればすぐに業務を再開できるため、
BCP(事業継続計画)の観点からも有効です。
会計基準や税制に変更があった場合でも、運営会社側で逐次アップデートを行ってくれるため、
ユーザーがソフトを買い替えたり、手動でバージョンアップ作業を行ったりする必要がありません。
インボイス制度や電子帳簿保存法などの複雑な法改正にも、
常に最新の状態で対応できるため、コンプライアンスの維持が容易になります。
インターネットバンキングやクレジットカード、
電子マネーなどとデータ連携(API連携)することにより、
利用明細を自動で取り込むことができます。
日付や金額、取引内容が自動で反映されるため、
通帳を見ながら手入力する作業が大幅に削減されます。
これにより、入力ミスが減り、経理業務の圧倒的な効率化が図れます。
入力されたデータは即座に集計・反映されるため、各種レポート機能を使って、
リアルタイムで会社の数字を確認することができます。
試算表や資金繰り表などの資料がすぐに作成できるので、
経営者は「今」の数字に基づいたスピーディーな経営判断を行うことができます。

「クラウド会計ソフトにすると入力が早くなる」と言われますが、その理由は主に以下の3点です。
クラウド会計ソフトの機能で、特に注目されているのが、「API連携」です。
「API連携」とは、他のシステムやソフトのデータと連係して取り込める機能のこと。
たとえば、クラウド会計ソフトに銀行口座やクレジットカード等の金融サービスと連携させれば、
銀行やカード会社のweb入出金明細のデータを自動的に取り込むことができるので、
手入力をする必要がなくなります。
また、給与計算・勤怠管理・経費精算などのシステムと連携させてデータを取り込むことも可能です。
場所や端末を選ばずに利用できるため、
移動中や待ち時間などの「スキマ時間」を活用して入力作業を進めることができます。
領収書が発生したその場でスマホから入力したり、在宅勤務中に処理を行ったりすることで、
業務を溜め込まずにスムーズに処理を進められるため、結果として全体の入力スピードが向上します。
多くのクラウド会計ソフトにはAI(人工知能)が搭載されており、
取り込んだ明細データの内容から適切な勘定科目を自動で推測・提案してくれます。
さらに、一度登録した仕訳ルールを学習するため、使えば使うほど精度が向上します。
これにより、勘定科目を調べる時間や迷う時間が減り、
確認ボタンを押すだけで次々と仕訳が完了するため、入力作業が劇的に早くなります。
多くのメリットがある一方で、導入に踏み切れない企業も少なくありません。
ここでは、よくある「導入をためらう理由」と、それらをどのように解消すればよいか、
具体的な解決策を提示します。

企業がクラウド会計ソフトの導入をためらう主な理由は、以下の3つです。
・ランニングコストがかかる
・初期設定や操作が難しそう
・クラウド会計を使いこなせる税理士が少ない
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
クラウド会計ソフトを導入した場合、利用している限り継続的に利用料金がかかります。
そのため「一度購入すれば追加支払いなく使えるインストール型のソフトのほうが安くつくのでは」と
考える方もいるでしょう。
しかし、従来の会計ソフトも年に1回バーションアップ版の購入が必要ですし、
運用管理するための人件費など見えないランニングコストがかかっています。
クラウド型はインストール型と比べて、導入時・更新時の費用を抑えられ、
人件費の削減効果を考慮すると結局コストは安くつくことのほうが多いです。
クラウド会計ソフトに対して、
導入時の設定や操作が難しいというイメージを持っている方も少なくないでしょう。
しかし、クラウド会計ソフトの多くは初めてでも直感的に操作できるよう工夫されており、
専門的な知識がない方でも簡単に利用できます。
初期設定についてはベンダーによるサポートを受けられるところも多いので、
わからない点があればいつでも相談してみるとよいでしょう。
クラウド会計ソフトは比較的新しいサービスのため、
クラウド会計に精通している税理士は多くありません。
そのため、対応できる税理士事務所の数が絞られるのは事実です。
クラウド会計のことで税務相談できなければ本末転倒ですので、
税理士がクラウド会計のことを理解しているかどうかはしっかりと確認しておかなければなりません。
「デジタル化」と言っても、すべての業務をいきなりデジタルに移行するのは現実的ではありません。アナログの良さを残しつつ、段階的にデジタル化を進めるための
「ハイブリッドな」アプローチについて解説します。

経理業務が関わる分野における法改正や働き方改革は、
経理部門に対するデジタル化を推進する流れを生み出しました。
改正後のルールに則って経理業務を進めることだけでなく、
経理部門のデジタル化は「人件費削減」「働き方改革の推進」「コア業務への人材の集中」
「業務の属人化の回避」といったメリットも生み出します。
経理業務のデジタル化のためには、適切なシステムの導入とその習熟が必要ですが、
今までアナログで経理業務を進めていた企業では、
いきなりデジタル化を取り入れると経理部門が混乱してしまう可能性もあるのです。
そこのため、適切なステップを踏んでデジタル化を進めていく必要があります。

経理業務をスムーズにデジタル化するためには、
以下のステップを経て効率化を図る必要があります。
まずは、経営陣と現場の従業員が、経理のデジタル化をする目的と現状について
認識を共有する必要があります。
「なぜデジタル化が必要なのか」「現状ではどこに問題があるのか」を
明確に言語化・数値化することによって、デジタル化に対するモチベーションを確保することができ、
社内が一丸となってデジタル化を進めることができるでしょう。
デジタル化では今まで紙の書類などで行っていた業務をパソコンなどのツールで管理するため、
経理向けのシステムを導入する必要があります。
また、誰でも均一にシステムを使いこなせるように、
業務フローの見直しとそれに伴うマニュアルの作成が必要です。
デジタル化によって経理業務は効率化する可能性がありますが、実際のところはわかりません。
そのため、定期的に経理部門の業務効率化の結果等を可視化して、
それをフィードバックすることでさらなる効率化を図ることが重要です。
今まで使ったことのないシステムを利用することで、
経理部門では業務が圧迫される可能性があります。
自社だけで移行作業を行うのが難しい場合は、外部の専門家を頼るのも賢い選択です。
プロに任せることで得られるメリットと、注意すべきデメリットについて整理します。

会計ソフトの移行を外部に任せることにより、
まず「移行のミスが起こりにくい」というメリットがあります。
会計ソフトは、関連する別の社内システムと連携したり、自社の事情に合わせた設定などが必要です。
会計ソフトの移行でミスが発生すると会計業務が滞り、大きなトラブルになるリスクもありますが、
会計ソフトに詳しい業者に任せればそのリスクは大幅に抑えられます。
次に、外部に委託すれば「自社の従業員の負担が増えない」点がメリットです。
自社で移行をする場合は誰かがこれに従事しなければならなくなり、本来の業務が滞ってしまいます。
外部に移行を委託すれば自社の従業員は最低限の手間だけで済むため、
コア業務に集中しつつ会計ソフトの移行を終わらせることができるのです。
そのほかにも、業者とつながりを持つことによって
「自社に最適な会計ソフトを提案してもらえる」「ソフトの操作方法を指導してもらえる」
などのサポート面でさまざまなメリットがあります。

会計ソフトの移行を外部に任せるにあたっては、
まず「コストがかかる」というデメリットがあります。
その会計ソフトを取り扱っている業者によっては一部無料で代行してくれるケースもありますが、
基本的に代行料金を支払う必要があります。
どの程度の費用がかかるのかはケースバイケースなので、
まずは無料見積もりを利用して費用の規模感を確認しておきましょう。

クラウド会計ソフトの導入は、経理業務の効率化だけでなく、
経営のスピードアップや多様な働き方の実現にも貢献します。
導入にはコストや手間がかかりますが、長期的な視点で見れば、そのメリットは計り知れません。
「自社に合ったソフトがわからない」「移行作業が不安」という場合は、
ぜひ専門家のサポートを活用してみてください。
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